いきなり余談。
RMICからリンクを貼っている今では関係ありませんが、実は、僕のRoux Method講座はこの記事から始まりました。記事番号を見てもらえるとわかると思います。なぜステップを逆行するように書いていったのか、いまだに謎です。。
Last Six Edge Tutorial
※標準配色で、U面黄色・F面青という前提で書いていきます。その他の配色・持ち方の人は適宜読み替えてください。
Last Six Edge(LSE)はRoux Methodの最後のステップです。
M列とU面に残された最後の6つのエッジ(とセンター)を揃えます。したがって使う回転も基本的にM系とU系だけです。
ここがRoux Methodで一番面白いところなので、途中でめげずにがんばりましょう。
LSEはさらに3つのサブステップに分けられます。
a) EO エッジの向き合わせ
b) UL/UR Edge ULとURエッジの位置合わせ
c) M-slice Edge M列のエッジ・センターの位置合わせ
という感じです。じゃあ順番にやっていきましょう。
a) EO(Edge Orientation) 最初のサブステップでは、エッジの向きを直します。
まずは向きが合っていないエッジ(Bad Edge、バッドエッジ)がどれかを判断できるようになりましょう。そんなに難しくありません。
まずセンターを合わせます。
U面かD面の色のセンターがU面にあればOKです。つまり、白か黄色のセンターがU面にあればいいってことです。合ってない場合は、M列を90度回してください。これで合います。
さて、この状態で、
側面の色(青・赤・緑・オレンジ)がU面かD面にあるエッジがバッドエッジです。なーんだ、OLLの判断と同じですね。簡単、簡単
バッドエッジは何個ありましたか?――
必ず偶数個になります。ナシ・2個・4個・6個(全部)のどれかですね。ナシならEOはスキップです。日ごろの行いが良い人にのみ訪れます。
では例を見てみましょう。
バッドエッジの判断例 スクランブル:M' U M' U2 M' U M'
画像の○がグッド、×がバッドです。U面には2つバッドがありますが、それぞれU面に緑とオレンジが見えていますね。緑もオレンジも側面の色なので、向きが合っていません。
そして、D面手前のエッジは、F面に緑が見えています。ということはD面には白か黄色が向いていると推定されますのでグッドエッジです。U面の4つと、D面手前の1つを判断した結果、グッドが3個、バッドが2個でしたので、必然的にD面奥の見えないエッジはグッドになります。
バッド偶数個の法則ですね。
スクランブル:M' U M U2 M2 U2 M2 U2
U面は、奥の1個だけが黄色でほかは側面色です。なのでバッドが3つ。ということはバッド偶数個の法則なので、下はどちらか1つがバッドです。D面手前に緑が見えているのでこちらはグッド。つまり奥はバッドです。
判断ができるようになったら、手順です。
図の、
赤いエッジがバッドエッジ、
緑のエッジがグッドエッジです。画像が2枚あるのは
前後対称のパターンです。左右対称はAUFで対応してください。
ところで、図では確認できないエッジが1か所ありますけど、もう大丈夫ですよね?「バッドエッジは偶数個の法則」を使えば、見なくても判断できます。
(1)キホンのカタチ(Arrow) M' U M' ( 前後対称の場合:
M U M )
バッドエッジがU面に3個、D面に1個の状態の時、この向きからM'UM'をすると、EOが完了します。
これがキホンのカタチです。Arrowとも呼ばれます。これ以外のパターンが来た場合は、手順を何回か回してこの形に持ち込みます(F2Lでいう「IT化」みたいなものです)。
以下では、それぞれのパターンからどういう道筋をたどればこのキホンのカタチに持ち込めるかを紹介しています。AUFは適宜使ってください。
(2)M2のパターン M2 ⇒ Arrow 簡単なので格上げしました。
このパターンがきたらM2をしてください。どうですか。(1)で紹介した「Arrow」に持ち込めましたよね?
(3)M'UM'のパターンその1 M' U M' ⇒ (2) ⇒ Arrow (2)を経由して、Arrowに持ち込めます。
ところで、この手順を全部回転記号で書いてみると、
M' U
M' M2 U' M' U M'
となります。
下線を引いた「M' M2」という部分は、相殺して「M」にできますね。
これがLSEのショートカットの基本です。自分なりに色々試してみてください。
(4)M'UM'のパターンその2 M' U M' ⇒ Arrow U面のズレ次第で4パターン考えられますが、全てAUFで対応可。
慣れてくるとAUFしなくても、M列とU面の回転方向を変えて対応できるようになります。
(5)M'UM'のパターンその3 M' U M' ⇒ Arrow ( 前後対称の場合: M' U M' ⇒ (2) ⇒ Arrow ) 前後対称の場合でもそのままM'UM'で対応することができます。
(2)が挟まるのでショートカットできますね。
(6)M'UM'のパターンその4 M' U M' ⇒ Arrow M2⇒(3)⇒(2)⇒Arrowなんてしないように!
(7)M'UM'のパターンその5 M' U M' ⇒ (5) ⇒ Arrow 全部のエッジがバッドエッジという、日ごろの行いが悪いと出現するパターンです。
一旦(5)を経由しないといけないので時間もかかります。
R U' Rw' U' M' U Rw U Rw'という裏技もあります。
(8)M'U2M'のパターンその1 M' U2 M' ⇒ Arrow U2を回すパターンです。判断も先読みも楽なのでササっとやりましょう。
(9)M'U2M'のパターンその2 M' U2 M' ⇒ Arrow (8)に似ているパターン。
以上がEOのだいたいです。
僕は、最初にRouxを勉強した時に、「EOは手順を使えば一発で完了できる」と思い込んでいたので、けっこう苦戦しました。ちゃんと手順やったのにEO終わらないよ!って感じで。でも、それで合っていたのです。コツコツ回してArrowに持ち込むのが正解なのです。
b) UL/UR Edge Permutation 読むのがダルくなってきた方もいるかと思いますが、めげずに次行ってみましょう。
UL/URエッジの位置合わせです。ここが完成すると、R列とL列がそれぞれ完全1面になって完成し、残りがM列だけになります。意外と分かりにくいかもしれませんが、コツさえつかめば楽勝です。先読みがめちゃくちゃ「効く」パートでもあります。
ところで、もしあなたがCFOPの世界からこちらへやってこようとしている場合、ここで
「まず先にD面エッジを2個入れちゃって、最後にエッジPLLをやればいいじゃないか!」とお考えになるかもしれません。僕もそれ考えました。でも遅いです。諸先輩方も「それ遅いよ」って言ってました。ガックシ。ということで頑張りましょう。
まずはULエッジとURエッジがどこにあるか探しましょう。ここでは、青をF面にしているという前提なので、ULエッジは黄色とオレンジ、URエッジは黄色と赤ということになります。できれば、EOをやっている最中にどこにあるか見つけておいてください。
逆から説明していきます。
問: UL/URエッジを正しい位置に合わせるにはどうすればいいでしょうか?
答.:↓この状態からM2すればハマりますよね?
そうです、つまり、
ULエッジとURエッジを両方ともD面に持ってくればいいのです。それができれば、あとはAUFしてM2!これで揃います。
ではそんなことを念頭に置いたうえで、UL/URエッジを探しましょう。どこにありましたか?
以下の図では、黄色くなっているエッジが、目的のULとURエッジです(他の色は今までにLSE以前のパートでそろえた部分です)。
ここにあったら、
U M2 でD面に持って行けますよね。
ここにあったら、
M2 Uすると、↓のパターンになります。
これは……対角の位置にあって揃えにくそうですね。でも実は、
M' U2 M' でいけます。もしUL/URエッジがU面とD面に1個ずつある時は、この手順が活躍します。
ノーコメント。日ごろの行いが良いんですかね。
こんな感じです。
ポイントは、
基本的に「M2」「U系」「MU2M 系」しか使えない、ということです。
これ以外の回転を使うと(たとえばMを単独で使ったりすると)、せっかくEOしたのが崩れてしまいます。気を付けてください。
UL/URエッジの位置のパターンは、EOに比べると断然少ないので飲みこめればすぐにできるようになります。
c) M-Slice Edge Permutation 皆さんまだ起きてますか?
これで最後なので、ちゃちゃっとやってしまって完成させてから布団に行きましょう。
このパートは最も説明されないパートです。なぜなら3パターンしかないし、ある程度キューブの経験がある方々ならば、ここまでくれば直感で揃えられてしまうからです。
パターンは3つと書きましたがそれは、
(1)エッジの3点交換
(2)エッジの平行交換
(3)センターの対面交換 の3つです。
(1) 3点交換 ↑画像は一例です。 エッジの3点交換の手順は意外とややこしいです。本質的には前後対称の2パターンしかないのですが、M列の向きによって見た目がいろいろに見えるからです。
代表される手順は「
U2 M' U2」もしくは前後対称の「
U2 M U2」です。これの前とか後にMだのM2だのM'だのといった、M列のセットアップが入ります。
開始位置を見つけるコツは別建てで記事にしてみましたので、こちらを参照ください⇒
M列3点交換断面図解説 ・平行交換 これは大丈夫でしょう。手順は
M2 U2 M2 U2です。
ただし、平行交換にも亜種がいろいろあって、たとえば、この図ではF面に「Hマーク」が見えていますが、U面に見えている90度ズレパターンもあります。あとは、最初からM2やU2された状態で登場することもあります。
パッと見では平行交換なのか迷うこともあるかと思いますが、慣れてください。
・センター交換 さあみなさんお待ちかねのセンター交換の登場です。おヘソみたいですね。ポチッと押してみましょう。特に何も起こりません。とっとと揃えていきましょう。
手順は、
E2 M E2 M'です。いきなり「E回転」が登場しましたね。ここまでM系とU系の回転だけで気持ちよく回してきたのに、最後にE回転なんていうとんでもないイレギュラーが来るから、センター交換は嫌いです。たぶん、日ごろの行いが(略)
回し方には一応コツがあって、こんな感じで回します(⇒
動画)。
一応虫みたいな手順もあって「
M' U M' U' M' U M' U' M' U M' U'」で揃えられなくもないですが、どうでしょう…E回転とはいえ4手の手順にはかなわないかと思います。
・まとめ こんなに細かくサブステップがあって速く回せるんだろうかと疑問に感じるかもしれませんが、先読みと指使いに慣れるとかなり速くなります。LSEはRouxの中で一番楽しいので、ぜひマスターしてほしいステップです。
最後にLSEのソルブ例を挙げておきます。
スクランブル: L R' F' D2 L R D B2 L2 F2 U R2 (12f*)
EO: U'M'UM'
UL/UR: U'M'U2MU'M2U'
M-Slice: MU2M'
スクランブル: L R' U' F' U F U F U F' U' x (11f*)
EO: U2M'U2M'U'M'
UL/UR: 日ごろの行いがよいためスキップ
M-Slice: M2U2MU2M
以上となります。
まとめ LSEは先読みがかなり大事になってきますので、練習方法としてもゆっくり回しながら先読みを鍛えることが最初は良いのかなと思います。あとはM列とU列の指使いに慣れること。
ちなみにRouxの一連のステップの中でも、ここはかなり細かいテクニックが多いです。3点交換先読みや、センター交換回避、EOLRなどなど。僕自身そこまで身についてません。ここで学んだことはほんの入り口として、奥深いLSEの世界にハマってみてください。
さて、FBから始まったRoux Method講座もこれで最終回となります。
皆さんこんな内容でひととおり揃えられるようになったのでしょうか?
あんまり自信がありません。
とにかくここまで読んでいただいた皆さん、ひとまずお疲れさまでした。
この本編のほかに、3点交換図解とか先読みメソッドとかのオプション記事や、動画解説もありますので参考にしてみてください。
ありがとうございました。おしまい。
http://kasocube.blog.shinobi.jp/Entry/140/Last Six Edge 講座